アカデミア・ユリコ・クロヌマから生まれたメキシコが誇る「歌うヴィルトゥオーゾ」
アドリアン・ユストゥス ヴァイオリン・リサイタル
ピアノ:ラファエル・ゲーラ
2012年
1月15日(日)15:00開演 御宿町公民館
1月17日(火) 18:45開演 名古屋・宗次ホール
1月19日(木)19:00開演 東京・紀尾井ホール
1月22日(日)13:30開演 小山市立文化センター

アドリアン・ユストゥスについて
黒沼 ユリ子
日本では未だ無名に近い存在にもかかわらず、名実共に今日のメキシコを代表するヴァイオリニストであるアドリアン・ユストゥスのことを私は「歌うヴィルトゥオーゾ」と呼んでいます。 それは<あたかも機械のような完璧なテクニックを持つ>と賞されるヴァイオリニストたちが次々と世界に出現する今日、しかしその演奏には、どこか自然に人間の心からほとばしり出るような「歌」が不足しているように、私にはしばしば感じられるからなのです。アドリアンの音楽には常にまるで「こんなに素晴らしい作品だと知ってましたか?」と問いかけられているかのように、演奏する側の大きな歓びがあります。 そこに、その曲と彼との見事なアイデンティティーが結ばれ、それに裏付けされた「歌」が生まれるのではないでしょうか。 親族をナチの強制収容所で亡くしたハンガリー人の祖父母がメキシコに亡命。 祖父、両親ともに医師の一家で、自らもヴァイオリンを弾く大のアマチュア音楽家たち。 空気と音楽が共存
していた家庭に生まれ育ったアドリアンが音楽芸術に一生を捧げる決意をしたのは当然とも思えますが、才能は努力という栄養なしでは育たないもの。彼の音楽に対する深い愛情と作曲家たちへの尊敬の念とヴァイオリンという楽器への誠意と真剣さ、それにたゆまぬ修練の結果が「歌うヴィルトゥオーゾ」としてここにあるのだと思います。

1985年にアカデミア・ユリコ・クロヌマの生徒代表の一人として初来日。日本という完全なる異文化の中でサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」をオーケストラ伴奏で演奏した時に直感した聴衆との絶妙なるコミュニケーションのパワーに感激し、それがヴァイオリニストを目指す決意につながったと語ることを憚らない彼なので、仮に<日本で生まれたヴァイオリニスト>と呼んでも嘘にはならないのかも知れません。そして「自分がヴァイオリンを弾いて、人々を幸せにすることが神から与えられたミッション( 使命) なのだ」と信じて疑わないアドリアンの演奏からは、常に聴く者に生きる歓びの種が振り撒かれているように感じられるのは、私ただ独りではないと確信しています。「シェリングの再来」とも評されるアドリアン・ユストゥスの今後の活躍を期待し、彼の芸術の熟成を見届けたいと、楽しみに希っている
次第です。 今回は、パガニーニのカプリス全曲をライブ演奏すると言う意欲に富むプログラムでありながら、さらに名コンビのピアニスト、ラファエル・ゲーラとのドビュッシーのソナタにもどうぞご期待下さい。
 
●東京公演
公演日・開演時間 1月19日(木)19:00開演
会場 紀尾井ホール
席種・料金 指定席 5,000円(一般) 3,000円(学生)
チケットお申込み 紀尾井ホールケットセンター 03-3237-0061
アーツ・アイランド 03-6914-0353
 
●名古屋公演
公演日・開演時間 1月17日(火) 18:45開演
会場 宗次ホール
席種・料金 自由席 4,000円/学生2,400円
チケットお申込み 宗次ホールチケットセンター 052-265-1718
 
アドリアン・ユストゥス, ヴァイオリニスト
メキシコ・シティー生まれ。幼少より父親からヴァイオリンの手ほどきを受け、11歳より<アカデミア・ユリコ・クロヌマ>で黒沼ユリ子に師事。全メキシコ学生コンクール優勝。オーケストラとデビュー後、ロチェスター大学の<イーストマン音楽学校>でツヴィ・ザイトリン教授に師事し、栄誉賞つきで学位を取得。その後、<マンハッタン音楽院>にてピンカース・ズッカーマンのもとでも研鑽を積んだ。
第一回国際ヘンリック・シェリング・コンクールで一位金メダル、メキシコの「モーツァルト・メダル」、ニューヨークの国際演奏家コンクールで受賞。カーネギー・ホール、ウイグモアホール、バービカン・センター、テルアビブのアート・ミュージアム、メキシコの国立芸術宮殿、プラハ城のスペイン宮殿など国際舞台で演奏、各地で高評を得る。
ロンドンのフィルハーモニア・オーケストラとシベリウスのV協奏曲、メキシコのケレタロ・フィルハーモニーとエンリッケスのV協奏曲第1番、アメリカで現代室内楽アルバム「タペストリー」、イスラエルでのリサイタルのライブなどのCD録音がある。
東京・紀尾井ホールでの「メキシコ音楽祭2010」では、弦楽合奏団「ソリスタス・メヒコ・ハポン」と共演し、完璧なテクニックに裏付けされた「歌うヴァイオリニスト」として絶賛を浴びる。1985年の初来日以来、今回で7回目の訪日となる。
プログラム
パガニーニ:
24のカプリス(全曲)

ドビュッシー:
ヴァイオリン・ソナタ
(ピアノ:ラファエル・ゲーラ))

※プログラムの変更はあらかじめご了承下さい。
来日記念CD発売!【Live DVD付き】
《ラ・カンパネラ》アドリアン・ユストゥス ヴァイオリン リサイタル
シェリング/イザイ/ポンセ/パガニーニ/サラサーテ/ドヴォルジャーク

収録:2011年1月13日紀尾井ホールにてのライブ録音(ルビジュームクロックを使った超高音質録音)
AJ-1001 3,000円(税込)
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