ロシア国立ボルコフ記念劇場 チェーホフ「結婚申込」
 
チェーホフの「結婚申込」が日本語の方言でリニューアル

 チェーホフ初期の傑作ヴォードヴィル「結婚申込」に日本公演にあたり、現代演劇の第一人者、福田善之とチェーホフ研究の第一人者、牧原純とが協力して、九州地方の方言による思いがけない翻訳作品が私達の前に現れます。
 戦後間もない頃、文学座の大女優、長岡輝子の発案で、場所も登場人物も日本に移した、伊賀山昌三の秋田弁による飜案作品(未来社刊「てすびす叢書」)「結婚申込」が出版され、学生や職場演劇の人気レパートリーになりました。現在この本は神田の古本屋で探すのも困難ですが、約半世紀ぶりにヤロスラヴリ・ボルコフ劇場の12月来日公演に併せて、福田・牧原コンビの共訳による九州方言「結婚申込」が「群像社」から出版の予定です。
 チェーホフが日本の方言でどう生き返るのか、興味はつきません。

福田善之 プロフィール
1931年東京生まれ。東京大学仏文学部卒。
劇作家・演出家。木下順二、岡倉士朗に師事。

「長い墓標の列」、「遠くまで行くんだ」、「真田風雲録」、「オッペケペ」、「袴垂れはどこだ」と話題作を次々と発表し、時代を小劇場演劇にみちびく旗手的存在だった。近年は「壁の中の妖精」、「二人の悪女の伝説」、「妖精たちの砦」など、メッセージ性の高い作品や舞台演出で芸術祭賞、紀伊國屋演劇賞、読売文学賞、同演劇大賞、同優秀演出家賞など多数の受賞作品のほかに、「龍姫」など、民話劇やミュージカルの分野でも幅広く活動している。現在、日本演出家協会理事長。

牧原純 プロフィール
本名、島地純。1926年東京生まれ。東京外語大学ロシア語科卒。

文化放送でラジオ・ドラマ演出など、放送関係の仕事を幅広く手掛ける一方、並行して、エルミーロフ「チェ−ホフ研究」、「チェ−ホフのドラマトゥルギー」(未来社)、「マルシャークのこどもの芝居の本」I、II、III(理論社)、トフストノーゴフ「演出者の仕事」(理論社)、マリヤ・チェーホワ「兄チェーホフ 遠い過去から」(筑摩書房)の翻訳と出版。フィゲーレ「きつねとぶどう」(ぶどうの会)、マリューギン「想出のチェーホフ」(劇団民藝)、チェーホフ「三人姉妹」「桜の園」(劇団民藝)、チェーホフ「ワーニャ伯父さん」(東京演劇アンサンブル)の翻訳・上演台本など、チェーホフを中心としたロシア演劇の研究・紹介、演劇評論に携る。研究書・上演台本等の翻訳多数。著書に「チェーホフ巡礼」(晩成書房)、「越境する作家チェ−ホフ」(東洋書店)などがある。



 
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